友人とボイスチャットを繋ぎ、ランクマッチの決定的な局面。まさにここが勝負という瞬間に、画面が止まり、無情にも「サーバーとの接続が切れました」の文字……。
「またかよ……」と溜息をつき、チームメイトへの申し訳なさでコントローラーを置きたくなる。そんな経験、今夜もしていませんか?
「Wi-Fi 改善」で検索すると、決まって出てくるのは「有線にしろ」「最新ルーターを買え」というアドバイスばかり。でも、部屋の構造上LANケーブルは引けないし、高い機材を買い直す余裕も今すぐにはない。そんな八方塞がりのあなたに伝えたいことがあります。
買い替えや工事を検討するのは、まだ早いです。
実は、ゲーム中の瞬断の多くは、ルーターの「余計なお節介」を止めるだけで解決します。今夜は、速度テストの結果に騙されず、今の機材のまま「切れない通信」を取り戻すための5分でできる外科手術を始めましょう。
ゲーム中にWi-Fiが切れる主な原因

「速度テストでは100Mbps以上出ているのに、なぜか対戦中だけ落ちる」
この矛盾こそが、多くのゲーマーを悩ませる最大の謎です。結論から言うと、ゲームに必要なのは「情報の太さ(回線速度)」ではなく「情報の正確な往復(Ping値とパケットロス)」だからです。
YouTubeやNetflixなどの動画視聴なら、通信が一瞬途切れても「バッファ(先読み)」がカバーしてくれます。しかし、オンラインゲームはコンマ1秒を争うリアルタイム通信。一瞬でもデータ(パケット)が迷子になると、サーバー側は「このプレイヤーはタイムアウトした」と判断し、あなたを試合からキックしてしまいます。これを専門用語でパケットロスと呼びますが、ゲーマーにとっては「ボールの落球」のようなものです。
このパケットロスを引き起こす主犯が、ルーターに搭載されている「バンドステアリング(自動バンド選択)」という機能です。これは混雑状況に応じて2.4GHzと5GHzを自動で切り替える便利な機能ですが、ゲーム中にこの切り替えが発生した瞬間、通信は必ず数秒間停止します。
回線速度以外に多い「電波の不安定さ」
通信速度が十分に出ていても、Wi-Fiの電波が不安定だとゲーム中に切断が起きることがあります。原因は、ルーターとの距離が遠い、壁や床を挟んでいる、2.4GHz帯が混雑しているなどさまざまです。特に夜間は近隣のWi-Fi利用が増え、干渉が強くなるケースもあります。速度テストで問題がなくても、電波の「安定性」が低いとラグや切断は防げません。
ルーター・設定に潜む見落としポイント
Wi-Fiが切れる原因は、ルーター本体や設定にあることも少なくありません。ファームウェアが古い、自動チャンネル切替が頻繁に起きている、省電力設定が有効になっているなどが影響する場合があります。また、同時接続台数が多いと通信が不安定になることもあります。再起動や設定の見直しだけで改善するケースもあるため、まずは基本設定を確認することが大切です。
ゲーム中にWi-Fiを安定させる3つの設定【今すぐ試せる】

今の機材で安定を掴み取るための、具体的な設定変更(外科手術)を3ステップで解説します。5分あれば終わります。
ステップ1:5GHz帯への「強制固定」
最も効果が高いのが、ルーターの「バンドステアリング」をオフにし、ゲーム機を5GHz帯に固定することです。
2.4GHz帯は電子レンジやBluetoothと干渉しやすく、突然の瞬断の原因になります。一方、5GHz帯は干渉に強く、ゲームに最適です。ルーターの設定画面でSSID(Wi-Fiの名前)を「5GHz専用」と「2.4GHz専用」に分け、ゲーム機からは5GHzの方だけに接続してください。
ステップ2:DNS設定を「パブリックDNS」へ変更
| サービス名 | 優先DNS (Primary) | 代替DNS (Secondary) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Google Public DNS | 8.8.8.8 |
8.8.4.4 |
最もメジャーで安定性が高い。 |
| Cloudflare | 1.1.1.1 |
1.0.0.1 |
プライバシー保護と高速レスポンスに特化。 |
ゲーム機側(PS5やSwitch)のネットワーク設定で、DNSを自動ではなく「手動」に変更します。
DNS設定と接続維持には密接な関係があり、プロバイダ標準のDNSから、世界中で使われている高速なパブリックDNSに変更することで、サーバーとの「名前解決」がスムーズになり、セッション切れを防げる場合があります。
ステップ3:チャンネルを「W52」に固定
近隣のWi-Fi電波と重ならないよう、ルーターのチャンネル設定を自動から「36, 40, 44, 48(W52帯)」のいずれかに固定します。
これらは気象レーダーなどの干渉を受けない帯域(DFS機能が働かない帯域)であるため、突如Wi-Fiが1分間停波するようなトラブルを未然に防げます。
✍️ 言アドバイス
【結論】: 設定を変えた後は、必ず「ゲーム機本体」と「ルーター」の両方を再起動してください。
なぜなら、この点は多くの人が見落としがちで、設定を保存しただけでは古い接続情報がメモリに残っており、改善効果が反映されないケースが多いからです。外科手術後の「リハビリ」だと思って、一度電源を完全に切ることを忘れないでください。
ゲーム中にWi-Fiが切れるときの改善策【有線以外の方法】
| 手段 | 安定度 | コスト | 設置難易度 | おすすめの人 |
|---|---|---|---|---|
| フラットLANケーブル | ★★★★★ | 1,000円〜 | 低 | ドアの隙間を通してでも有線にしたい人 |
| メッシュWi-Fi | ★★★★☆ | 15,000円〜 | 中 | 家が広く、家族全員で安定させたい人 |
| PLC (電力線通信) | ★★★☆☆ | 8,000円〜 | 低 | 電波が届かないが配線もできない古い家 |
| Wi-Fi 6対応ルーター | ★★★★☆ | 10,000円〜 | 低 | 5年以上前のルーターを使っている人 |
上記の設定を試しても状況が変わらない場合、環境自体に物理的な限界があるかもしれません。ただし、安易に「中継機」に手を出すのは避けてください。
中継機は電波の届く範囲を広げますが、通信経路が複雑になるためパケットロスを誘発しやすく、ゲーマーにとっては「毒」になることが多いからです。
どうしても有線が無理なら、厚さ1mm程度の「フラットタイプ」のLANケーブルを検討してください。ドアの隙間を通せるため、壁に穴を開けずに実質的な「直結」環境が作れます。これが最強の解決策であることに変わりはありません。
FAQ:よくある質問
Q. 再起動してもすぐ切れるのはなぜ?
A. 再起動は「一時的なエラー」をリセットするだけだからです。今回の記事で紹介した5GHz固定やDNS変更を行わない限り、根本的な「電波干渉」や「設定の競合」は解決しません。対症療法ではなく、外科手術を行いましょう。
Q. 設定を変えて、もし繋がらなくなったら?
A. ルーターの背面にある「RESET」ボタンを長押しすれば、いつでも工場出荷時の状態に戻せます。恐れずに試してみてください。
まとめ
ゲーム中のWi-Fi切断は、決して「運」や「回線のせい」だけではありません。
- バンドステアリングをオフにして5GHzに固定する
- DNSを「8.8.8.8」に手動設定する
- チャンネルをW52帯に固定する
この3つの「外科手術」を行うだけで、あなたのゲーム環境は劇的に改善されるはずです。環境のせいで負けるストレスから解放され、心ゆくまでランクマッチを楽しんでください。あなたはもっと、強く戦えるはずです。
まずは今夜、DNS設定を8.8.8.8に変えることから始めてみませんか?
参考文献リスト
- PlayStation®5をインターネットに接続する方法 – Sony Interactive Entertainment
- Wi-Fiの周波数帯2.4GHzと5GHzの違いについて – 株式会社バッファロー
- Google Public DNS Guide – Google Developers


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